宝くじで1億円当たった人の末路
鈴木 信行
「宝くじで1億円当たったら……」。
こんな淡い期待を胸に、宝くじ売り場につい並んでしまうビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
果たして、「宝くじで1億円当てた」後に待ち受ける末路とはどんなものなのでしょうか。
「大学時代からバックパッカーを続けて、20代を放浪の旅人として過ごせば、どんな人生が待ち受けているのか」
「30~40代で友達がゼロの会社員が孤独な生活を続けていったら、最終的に人生はどうなるのか」
「キラキラネームを子供に付けてしまったら、その子の将来はどうなってしまうのか」――。
いずれも、何となく"やばいこと"になりそうなのは分かります。
でも、その先の人生がどうなるか、正確に教えてくれる人はなかなかいません。
こうした疑問に、しっかり答えられる人も少ないはずです。
グローバル化とITの革新によって、私たちの人生の選択肢は、飛躍的に広がりました。
誰もが、その気になれば、大抵の挑戦はできる。そんな時代に私たちは生きています。
でもその割には、「いろいろ挑戦して人生を楽しんでいる人」って少ないと思いませんか?
みんな実は、人生で一つの「選択」をした後、どんな「末路」が待ち受けているかよく分からなくて、不安なのだと思います。
だったら、気になる様々な人生の「末路」を、専門家や経験者に取材してしまえばどうか。
本書で紹介するのは、「結婚」「マイホーム購入」「進路」といった、自分の意思で決められる選択だけではありません。
「宝くじ当選」のような受動的な選択も含まれます。
それはそれで、その末路を知っておくことは、思わぬ幸運(不運)が舞い込んだ際の心構えになると思います。
いろいろな「末路」を知れば、きっとあなたの心は解き放たれます。
「好きなように生きていい」。
専門家と著者が導き出す多様な「末路」が、そんなふうに、そっとあなたの背中を押すはずです。
≪23の末路≫
・宝くじで1億円当たった人の末路
・事故物件借りちゃった人の末路
・キラキラネームの人の末路
・「友達ゼロ」の人の末路
・子供を作らなかった人の末路
・教育費貧乏な家庭の末路
・賃貸派の末路
・自分を探し続けた人(バックパッカー)の末路
・留学に逃げた人(学歴ロンダリング)の末路
・「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路
・電車で「中ほど」まで進まない人の末路
・「グロい漫画」が好きな人の末路
・外国人観光客が嫌いな人の末路
・癖で首をポキポキ鳴らし続けた人の末路
・8時間以上寝る人の末路
・いつも不機嫌そうな上司の末路
・体が硬い人の末路
・禁煙にしない店の末路
・日本一顧客思いのクリーニング店の末路
・リモコン発見器の末路
・ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路1
・ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路2
・男の末路
・アジアの路上生活障害者の末路
◆朝日新聞書評ライター・武田砂鉄氏「同調圧力なんて関係ない」
現在放送されている、芸能人の同級生の現在を追うTV番組「あいつ今何してる?」(テレビ朝日系)と、
終電を逃した人々に声をかけて自宅を訪問する番組「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ東京系)。
この二つの番組タイトルは、人が共通して知りたがるものを見事に伝える。私たちは、他人に「で、どうなの?」との問いを投げ続け、
個人的な好き嫌いを存分に加味しながら、他人の振る舞いをジャッジして生きている。
「人生で一つの『選択』をした後、どんな『末路』が待ち受けているか」、二十三の末路を追った本書の結論はシンプル。
「同調圧力なんて関係ない。今日から自分がやりたいことをやり、やりたくないことはやめましょう」。以上だ。清々(すがすが)しい。
「日経ビジネス」副編集長が、宝くじで1億円当たった人、事故物件を借りちゃった人、自分を探し続けた人、留学に逃げた人、
電車で「中ほど」まで進まない人などの末路について、専門家にインタビューを重ねる。分析に共通するのは、日本社会に染み渡る「群れる」意識。
それは今年、「忖度(そんたく)」なる流行語が教えてくれた通り。
社会はいつだって流動的。だから人は、他人との比較を繰り返して、増幅する不安を減らそうとする。
テーマごとに一人の専門家に聞いているだけなので、その見解は偏る。その分析のひとつひとつに異論が出るだろう。
でも、すぐに答えを欲する現代に求められるのって、これはあくまでも一人の意見、と受け流す姿勢でもある。
本書について、ネット書店のレビューを覗(のぞ)くと「一冊全て宝くじが当たった人の話かと思ったら、
最初の数ページだけでがっかり」との低評価が複数書き込まれている。少しでも目次や内容紹介を読めば分かること。
なぜこんなにも即物的なのか。この手のレビューが、逆説的に本書の存在意義を知らせる。
知らない誰かの選択をじっくり知り、末路を受け止める。それだけで視野は存分に広がるのだ。
※朝日新聞2017年7月23日掲載
◆経済評論家・森永卓郎氏「これはショートショートで読む人生訓だ」
最初にタイトルを見たとき、この本は1億円を当てた人を何人も追いかけたドキュメンタリーだと思った。
しかし、そうではなかった。宝くじに当たった人の話は、23あるテーマの冒頭を飾る一編に過ぎない。
また、本書はドキュメンタリーでもない。本書の本質は、「ショートショートで読む人生訓」だ。
仕掛けはこうだ。人生の分岐点で、一つの選択をしたときの影響を、日経ビジネス副編集長を務める著者が、専門家にインタビューする。
それをそのまま掲載したあとに、著者の解説をつける。その繰り返しだ。
著者がインタビューをする専門家は、一つのテーマにつき一人だけだ。だから、それが本当に正解かどうかは分からない。
例えば、「家を買うべきか借りるべきか」というのは、経済評論家のなかで、意見が真っ二つに割れる問題だ。それを本書は、「借りるべき」と断言する。
私自身は、購入派なのだが、本書の主張に腹が立つことはない。賃貸のメリットをきちんと、ていねいに解説しているからだ。
「購入も賃貸もそれぞれにメリットとデメリットがあります」なんてことを言われるよりずっと、すっきりしていて、気持ちがよい。
また、本書に収められた専門家のアドバイスには、ハッとさせられるものも多い。「海辺のまちでのんびり暮らしたい人の末路」というテーマがある。
引退したら、貯金を食いつぶしながら、のんびり暮らしたいと、心の片隅で私も考えている。ところが、本書のアドバイスは、「移住した後も、働け」ということだ。
人間は、貯蓄が減り続ける不安に耐えきれないらしい。私は、貯金を食いつぶす生活の経験がないので、分からなかったが、そんなものかもしれない。
そして、本書の最大のメリットは、各テーマがコンパクトにまとまっていることだ。だから、通勤電車が次の駅に着くまでに1テーマを読み終えることができる。
人生訓は、延々と読んだらうんざりしてしまう。人生は自分で選ぶものだから、他人の意見は、あくまで参考に過ぎないのだ。
その意味で、本書は通勤かばんのなかに忍ばせて、軽い気持ちで読むのに最適の本なのだ。
※日刊ゲンダイ2017年5月21日掲載「週末おススメ本ミシュラン」より
◆モノマガジン書評「これは『人間名画劇場』で上演された23の短編作品だ」
ユニークなタイトルで得しているのか、損なのか。いずれにしろ、一発で覚えてしまういいタイトルである。
みなさんはどんな内容の本だと想像しますか。
「そりゃ、宝くじで一発宛てた複数人に取材し、それぞれの身におきたあれこれ、人生の行く末。幸せもあれば不幸もある。人生いろいろレポートでしょう」と思いますよね。
でも違う、いやまったく違いはしないが、それはいくつもある項目のうちのひとつ。
本書はドラえもんの秘密道具「もしもボックス」に入って思わず口走っちゃった人の生き様オムニバス集です。
『日経ビジネスWEB』での連載を加筆再構成した単行本で、表題のほか、友達ゼロの人の末路/電車で「中ほど」まで進まない人の末路/キラキラネームの人の末路/
自分を探し続けた人の末路/子供を作らなかった人の末路/8時間以上寝る人の末路/ワイシャツの下に何を着るか迷う人の末路などなど、「あるある! 」な興味シンシン、多様な末路を、計23本収めている。
章内の展開としては、テーマ毎にふさわしい専門家へ取材→ご当人、または友人・知人の経験談から想定しうる末路を導く→ビジネスパーソンの日常における実践的・応用的ノウハウとしての気づきを与える、
となっている。本稿担当者は当初、本書をライフドキュメンタリーだと思っていた。いやいや、読み始めて間もなく、昨今流行の自己啓発本なのだと気づかされた。
これらは「人間名画劇場」で上演された23の短編作品であり、人生を賭した貴重なレポートなのである。あ、暗さは全然なくて気持ち前向きになります、念のため。
※モノマガジン2017年7月2日号掲載「怪奇骨董新書箱」より
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